【社長インタビュー】CRECOの開発秘話&今後の展望

尾上 正憲(おのえ まさのり)
アイ・ティ・リアライズ株式会社 代表取締役社長

プロフィール:
1974年3月横浜生まれ。
東京工業大学経営工学専攻修了後、金融系システムインテグレータへ入社。
数多くの金融機関向け取引システム開発案件に従事。
ネット専業証券会社を経て、2007年金融機関向けシステム開発に特化した
アイ・ティ・リアライズ株式会社を設立し、同社代表取締役に就任。

■なぜCRECOを開発したのか

― そもそもCRECOはどのような経緯で開発されたものなのでしょうか?
 
尾上:もともと金融系システムを作ってきたのですが、CRECOにつながる直接のきっかけは、2014年に家計簿アプリを作ったことから。iPhone/Android用にアカウントアグリゲーション(一括管理)家計簿アプリを作ったんです。

― 今のCRECOでもクレジットカードの複数アカウントを一括管理していますが、アグリゲーションはその頃からやってたんですね。

尾上:そう。でも、当時は家計簿アプリだったから、クレジットカードに限らず、銀行、株式や投信含めていろいろなもののアグリゲーション。それこそ 「資産ポートフォリオ」で資産管理までできるものでした。

― CRECOより進んでいるような(笑)。

尾上:でもね、ユーザーの声を聞くと「資産管理機能なんていらない」「株なんて持ってない」「もっとシンプルなものがいい」という声が圧倒的だったんですよ。良かれと思って作り込んだ機能が実際はまったく使われていなかった。むしろ邪魔だと思われていてショックでした。
 
― そこでグレちゃったとか…?

尾上:グレたりはしませんでした(笑)が、「シンプルにクレジットカードだけが管理できるとうれしい」という声は響きましたね。アプリそのものを考え直すきっかけになりました。

あと同時期に、米国でCLO(Creditcard Linked Offer)という、クレジットカードの利用履歴にもとづいて、それぞれのユーザーに最適な特典(割引クーポンなど)を提供する「クレジットカード連携型特典」が盛んになっているということを聞いて、クレジットカードを管理するアプリを作るのだったら、このCLOにも取り組んでみるのはどうかと。

― 一石二鳥を狙った?

尾上:はい(笑)。というと軽薄に聞こえるかもしれないんですが、日本ではこのCLOは一時期、マーケティング分野での流行語にはなったものの、一般には根づいていないということが背景にあります。

なんでアメリカでは多くの会社が取り組んでいて、ユーザーには「お得情報」として、また店舗には「長く通ってくれる優良顧客を増やす手法」として喜ばれているのに、日本ではあまり広まっていないのか。

実は、日本のクレジットカード業界は特殊で、カード会社主導でCLOを実現するのは難しいのでは、と考えていました。日本では、クレジットカードを発行する「イシュアー」(クレジットカード発行会社)と加盟店契約を行う「アクワイアラー」(クレジットカード加盟店契約会社)が分離しています。そのため、「イシュアー」であるカード会社には、カード決済ネットワーク上で加盟店の情報が開示されず、「顧客がどの加盟店で買い物をしたのか」という情報が正確には入ってこない。つまりは、カード会社がCLOを行うためのデータが不足しているのです。

ではどうすればよいのか。アカウントアグリゲーションで複数カードの利用履歴を独自に取得し、その履歴をベースにしてCLOを行えばよいのではないか。つまり、アカウントアグリゲーションと組み合わせたCLOにすることで、日本市場での可能性を探ってみようと思いました。

― それがCRECOを発想するきっかけだったのですね。

尾上:はい。「クレジットカードアグリゲーション+CLO」というコンセプトで2015年にCRECOが誕生しました。

■初期のCRECO

― そこからは順風満帆に進んできたのでしょうか?

尾上:そんなわけはないです(笑)。ベンチャー企業なので、本当に紆余曲折ありました。アプリのテイストも初期のものは今とは大分違っていましたよ。最初期バージョンにはゆるキャラみたいなキャラクターがいたりとか。トップ画面がカレンダーではなかったりとか。

― 社内で伝説になっている「くまさん」ですね。あとカレンダーがないCRECOなんて想像つきません…。

尾上:開発体制も外注メインで、今とはまったく違う姿でした。今開発リーダーやってくれている人間が、手を挙げてくれて、一から練り直して今の形になっていったんですよ。

― Cさんありがとう!トップをカレンダーにしてくれて!

尾上:いや、トップ画面は、ユーザーの声で今後また変わるかもしれませんよ(笑)。
 

CRECO社長インタビュー風景

 

■変化することを恐れないCRECO

― そういえば、CRECOの大きな特徴は、「ユーザーの声を聞いて変化していくことを恐れない」点だと聞きました。

尾上:今の時代、どの会社も「顧客満足」「カスタマーファースト」と言うに決まっているんですが、少人数の頃からCSの専門人員を入れてちゃんとやってきたという自負はありますね。ユーザーの声に対し、「仕様だから」「それは他のアプリも同じだから」と聞き流したりせず、きちんと耳を傾ける。

― 中にはとんでもないことを言ってくるユーザーもいたりするのでは?

尾上:ええ、いないこともないです。ただ、CRECOをより良くするための前向きなご意見をいただくことの方が圧倒的に多いですし、普段から真摯にユーザーに対応していると、対応すべきことなのか、そうではないのか、その線引きがクリアになりますね。

― 変化する・しないはどういう判断基準で決めているのでしょう?

尾上:CRECOのポリシーとして、「ダウンロード数勝負はしない」ということがあります。大々的な広告を打ったりしていないのは、このためです。一時的にダウンロード数を増やしても仕方がないと思うので。

それよりもアクティブユーザーを増やしたい。長く使われる、ユーザーの人生に寄り添うライフスタイルアプリをCRECOは目指しています。そのため、変化するかどうかも、この「ライフスタイルアプリとしてふさわしいか?」という基準で決めています。

■今後のCRECO

― 今後のCRECOの目標や展望について教えてください。

尾上:元々はシンプルなアプリが求められているということでクレジットカードに特化してきたCRECOですが、最近また方向を考え直す必要があるのかなと思っています。

日本では、現金は絶滅したりはしないけれども、キャッシュレス社会へと向かっているのは明らかです。そのキャッシュレス社会においては、クレジットカードだけではなく、電子マネーやデビットカードなども今よりももっと使われるようになっていく。それらをまとめて管理できるようなツールを作りたい。

それは、家計簿アプリ時代に戻って資産管理をまたやるという意味ではなく、「デイリーユースのお金の管理」ができるような、いわば電子ウォレット(電子的なお財布)を作りたいという意味です。

― 確かに電子マネー、小銭を持たずに済んで便利ではあるのですが、管理がちょっと大変だったりします。オートチャージに甘えてつい使いすぎてしまったり。

尾上:キャッシュレスだと、お金の流れが見えにくくなるのが問題なので、CRECOによる一括管理でお金の流れを可視化したいと思っています。ポイントについても、今はいろんなポイントが流通するようになっているので、一括管理した上で、交換もシームレスにしたいなと。

― あちこちに少額ポイント放置しているので、すごくうれしいです。

尾上:将来的には、「O2O(オンライン・ツー・オフライン)」(オンラインからオフラインへの送客)にもそのまま使えたり、モバイルペイメント加盟店でシームレスに使えるようになりたいなど、いろいろ夢が広がっていますね。
CRECOはずっと進化を続けるアプリで、これからもライフスタイルアプリとして最適な形へと変わっていきます。どうか今後のCRECOにご期待ください。

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